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イチキュッパの幸せ


僕の両親は共働きだったので

子供の頃に僕の面倒を

見てくれていたのは祖母でした

僕が欲しい物をねだれば

何でも買ってくれ

食べたいものをリクエストすれば

作ってくれるような

本当に優しい祖母でした

僕はそんな祖母が大好きでした

先日挙げた結婚式に

一番来て欲しかった人ですが

残念ながらそれは

叶いませんでした

僕が働き始めてからしばらくすると

祖母は体調を崩してしまい

病院で精密検査を受けた時には

既に末期の大腸がんだったことが

発覚しました

もともとがとてもパワフルな

祖母だったので

がんになったことなど僕を含め

家族全員が信じられない思いでした

それこそ末期がんであろうが

ケロっと回復するのではないかと

本気で思っていました。

しかし、どんなに元気な祖母でも

長い闘病生活で日に日に

弱っていくのがわかりました

抗がん剤治療などもしましたが

効果がなく

緩和治療に入ることになりました

モルヒネを投与することで

祖母は強烈な眠気に

襲われることになったのですが

「寝てしまうと

 もう起きれない気がする」と

頑なに眠ることを

拒否していました

ですが、やはり強い薬ですので

どうしても眠気に抗うことが

できなかったようです

そんな状態でしたが

まだ自力で歩くことができるうちに

祖母の大好きだったレストランに

行くことになりました。

しかし、大好きだったレストランでさえ

眠気に抗うことができず

ほとんど料理も食べずに

席でずっと眠ってしまっているような

状態でした

来れただけでも

良しとしようということで

祖母を起こし会計を済ませ

帰ろうとした時に

たまたまレジの横に

婦人服が売っていることに

気づきました

おしゃれが好きだった祖母に

少しでも喜んで貰えるように

僕が「ばあちゃん、好きな服買ってあげるよ!!どれでも選んでいいよ」

と言った瞬間に

あれだけ眠気に襲われ

フラフラだった祖母が笑顔になり

服を選び始めたのです

この服を選んでいる瞬間だけは

祖母は自分が病気であることを忘れ

楽しくショッピングを

することができた思います

祖母は一着の服を選んだのですが

その服の値段は1980円でした

おそらく僕の人生で

こんなに幸せに1980円を

使うことは後にも先にもありません

祖母は本当に嬉しそうに

僕に「ありがとう」と言ってくれました

祖母は元々服や、貴金属など

高価なものが好きでしたが

亡くなる瞬間まで僕が買った

1980円の服を本当に

大切そうに着てくれていました

この出来事は僕に

お金について深く考える

きっかけを与えてくれました

幸せとは高価な物を買ったり

贅沢な生活をすることではないと

教えてくれたのです

人が感動するのは価格ではなく

その人の想いなのだと

祖母が亡くなってから

7年が経ちましたが

今でもその考えに変化はありません